『クラリス、あなたは自分のなりたいものになりなさい』

 私の母親、サンスポット・レイヤーは超越者だ。
 母は17年前、国際連合とズフィルシアの戦争が激化する中で亡くなった。
 美人で、優しくて強くて、大好きなお母さん。

『クラリス、本当にすまなかったな』

 私の父親、レイアス・プロミネンスは凄腕の魔法使い。
 お父さんは15年前、ズフィルシアの暴走の源である皇帝を倒すために亡くなった。
 カリスマに溢れたお母さんを影から支える一家の大黒柱。
 一本筋が通っていて、強くて、かっこいい、大好きなお父さん。

 あとに残る私や、ルクシオンの子どもたちに光を残してくれた。

 そう。15年前、あの人のおかげで、世界は一度平和になった。
 私はお母さんやお父さんの守ってくれたこのルクシオンで、両親が築き維持してきたウラノスという部族の中で、故郷である贖罪の地を大事にしながら、時を過ごすことができるはずだった。

 けれど、時代はそれを許してくれなかった。
 神様が降臨して、これまで一つだった世界に、人間と復元者という区別が持ち込まれた。人々は昨日までの友達すらも信じることができなくなって、世界はバラバラに割れてしまった。

 ルクシオンだって、同じだ。

 ルクシオンのあるエレメンシア大陸は、すぐに紛争が激化していった。
 私はあの人のつてで、何人かの子どもたちと一緒にマタリカ大陸に送られた。そのおかげで、私はマタリカ大陸で平和な生活を享受できた。
 だけど日に日に、私の中で故郷へ戻りたいという気持ちは強くなっていく。

 そして15年。私はレイドサイクロンという組織をつくって、アドヴァーグ・ドースティンという人物と協力体制を築いて、ルクシオンのレバノンへ帰ってきた。

 なぜレバノンかというと、当時は紛争が激しくて、贖罪の地に近づくことさえできなかったから。生まれ故郷に帰るためには、段階を踏んでいくしかなかった。

 私は久しぶりに踏みしめたルクシオンの大地に
 懐かしさを感じるとともに、変わり果てた土地へ哀愁を抱く。

 私は、故郷に平穏を取り戻したいと感じた。
 お母さんやお父さんと過ごした故郷を再び笑顔にあふれる場所にすること。それが、ルクシオンの部族ウラノスの長レイアス・プロミネンスとサンスポット・レイヤーの娘である私の使命のように思えた——。

 この物語は、世界を襲った大津波ディザスターの後。
 私がレイドサイクロンを結成してからの軌跡を描いたものになる。

 この頃、私の胸には、お母さんやお父さんとの思い出の場所を取り戻したいという願望があった。けれどそれをどう表現したらいいのかわからず、もがいていた。

 凡人で、カリスマ性なんてかけらもない私は、誰かの心を動かすことも不得手だ。
 自分自身を動かすことだって難しいのだから、当然だ。

 だけど私はもがいて、ある答えに行き着くことができた。
 私の経験が、同じようにもがいている誰かの役に立つことを願って。 

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