第4項 国際連合軍

エスカリョーネが驚いたのは、その数だった。

ルクシオン南部のオアシス地帯にキャンプを張る国際連合軍は、エスカリョーネにとっては地平線を埋め尽くしているように感じられた。

「こんなに沢山の人が、世の中にはいるんだなあ」

『・・・不憫だな』

言ったのはフレスヴェルグ。

「何よ、仕方ないでしょう。私の故郷には、全部で100人しかいなかったんだから」

「ふふっエスカったら、独り言?私もこんなに沢山の人がいるところを見たことがないよ」

ミストは笑う。

「だよね、だよねー!それにしてもこれだけ人がいると、1度ミストと離れたら2度と会えなくなっちゃう気がするよ」

「残念ながら、2人は別の部隊への配属ですなあ」

後方から馬にまたがって現れたのはビスマルク。

「え!?そうなんですか?」

エスカリョーネがしょんぼりと視線を下げる。ビスマルクはそんなエスカリョーネを見下ろしながら、あくまで冷静に伝える。

「ミストルティン。あなたはライロック元帥指揮下の砲術兵、マジシャン部隊への配属が決まりました。一番東の屋舎へ行きなさい。そこで手続きが待っています」

「は、はい!」

ミストルティンは背筋をぴんと伸ばして、元気よく返事をした。

「よろしい。・・・大丈夫です。寂しいかもしれませんが、心配はありません。エスカリョーネに会いたいときは、マジシャン部隊のリーダーに声をかけなさい。チーム間で伝達し、エスカリョーネを呼び出しますから」

「ありがとうございます」

「それからエスカリョーネ。あなたは私の指揮下の歩兵、レンジャー部隊への所属となりました。今後は私の指揮のもと、行動をしてもらいます」

「わかりました!」

「これまた、元気がよろしい。あなたの手続きは私が担当します。さて、ミストルティンは東に向かいましょうか」

「はい。エスカ、また後でね」

ミストルティンは小さく手を振って、小走りで東の屋舎へと向かう。エスカリョーネはその姿をだらけた表情で見ながら、同じく小さく手を振っていた。

「うん、やっぱりミストは女の子らしいな〜」

「あなたも少しは見習ってみてはいかがですか?表情がだらしないですよ」

ビスマルクは馬から降りると、手元の書類をめくりながら、額に手をやっていた。エスカリョーネは口元に手を当てる。

「失礼しました。それで、ビスマルクさん、私は何をすればいいの?」

ビスマルクはめくっていた書類の中から1枚を選びとり、エスカリョーネに手渡した。

「まずはこの書類を書いてください。名前は可能ならばアルファベットで。あなたのワッペンを作りますからね」

「アルファベット・・・?」

「わかりました。私の方で書いておきましょう。それからこちらは国際連合軍の体制図になります。ルクシオンの言葉にも翻訳されていますから、こちらであれば読めるでしょう」

ビスマルクから、1枚の紙が手渡された。故郷の言葉と少し違っていたが、エスカリョーネにも読むことが出来た。そこには下記の内容が記載されていた。

 

■国際連合軍 2連隊

第1隊 奇襲邀撃隊

元帥:ビスマルク

歩兵

侍(ロマリア兵)

軽歩兵

重装歩兵

復元兵

レンジャー(ハーネスライン兵)

騎兵

ドラグーン

軽騎兵

重装騎兵

チャリオット(オースティア兵)

バイク兵(デロメア・テクニカ兵)

 

第2隊 魔導工作隊

元帥:ライロック・マディン

砲術兵

ライフル兵(デロメア・テクニカ兵、オースティア兵)

紋章術(リベラリア兵)

マジシャン(ルクシオン兵、ヴィヴァリン兵)

工兵

戦闘工兵(アルテリア兵)

建設工兵(アルテリア兵)

コンボイ

※()内は各隊の中核を担う兵

 

エスカリョーネは目を皿のようにして体制図を見ていた。体制図を一通り見終わると彼女は悲しそうな顔でビスマルクを見た。

「どうしましたか?」

「ミストはルクシオンの兵隊さんがいる部隊で、羨ましいなーって思ったの。私はハーネス、ライン?の人たちと一緒の部隊なんだね」

「そうですね。ちなみに私もハーネスラインの出身です」

「え!?ビスマルクさんも?じゃあ私の周りの人はみんな色黒で変なお面被ってるの?」

「・・・お面をかぶっているのは私だけです。それに、これは戦場で表情を見せないための工夫ですよ」

「そうなんだ〜。ビスマルクさん偉い!ほ、ほんとに思ってますよ?怒らないで!」

「まったく。あなたといると、人と人の距離感がわからなくなります。ハーネスラインでは、人に心を許すことなどできませんでしたから」

ビスマルクは青空を見上げる。彼は過去を思い出していた。

「ハーネスラインでは、友人同士、肉親同士がわずかな食料を巡って争いました。あなたのように気軽に人の領域に踏み込んでくる人は、総じて騙され殺されていきましたよ」

ビスマルクは遠い目をして言った。エスカリョーネは手元の書類を折ったり開いたりしている。

「じゃあビスマルクさんは、私に変われっていうんだね?」

「いいえ」

エスカリョーネはビスマルクの意外な返答に顔を上げた。ビスマルクはエスカリョーネの肩に手をおく。

「あなたは今のままでいいのです。人懐っこい人物が騙されるような世界の方が、間違っています。ハーネスラインの出来事は、二度と繰り返されてはいけないのです」

ビスマルクの言葉は力強かった。

「私達の総司令官も、そう考えていますよ」

「総司令官?」

「ええ。いずれ会うことが出来るでしょう。さて、時間をかけすぎました。まずはレンジャーの位置付けについて説明しましょう」

ビスマルクはエスカリョーネにレンジャーについて説明を行った。

レンジャーとは、ビスマルク連隊の一部隊でありながら、ある程度の自由裁量権が与えられている特殊部隊である。メンバー1人1人が何らかのスキルに関してプロフェッショナルであり、ゲリラなどの奇襲作戦に対して迅速に対応できる高機動性を持つことが期待される。

「エスカリョーネ、あなたには戦闘のプロフェッショナルとしての働きを期待しています」

「が、頑張ります」

「よろしい。細かな実務についてはレンジャーのリーダーであるイプシロンに聞きなさい。イプシロン!新入りです」

10ベルトほど離れた場所で剣を研いでいた男が手を止めた。黒髪の大男。彼がイプシロンだ。

「ビスマルクか。今度は随分可愛らしい子を連れてきたな」

「可愛い華には何とやら。『指導』の方、よろしくお願いしますね」

(いま、強いアクセントで指導って言ったよね?やっぱり怒ってるよー)

エスカリョーネは内心怖がりながら、イプシロンに頭を下げた。

 

***

 

その頃、ミストルティンは東の屋舎で手続きを終えていた。次はマジシャン部隊のリーダーから、マジシャン部隊の実務内容について説明を聞く手はずになっていたが、リーダーが多忙のため外の椅子に座って待ちぼうけをしている。手元には体制図が綺麗に折りたたまれて握られていた。

ミストルティンは若干の心細さを感じながらも、古今東西から集められたと思われる多種多様な魔法使いたちを興味深い目で見つめていた。例えば黒いローブに身を包んだベーシックな魔法使いから、水着のようなコスチュームで魔法の練習をしている女性。白いドレスを着た、羽の生えた男性もいる。そういった魔法使いたちが、ミストルティンの見たことのない魔法を操っていた。

 

ミストルティンが魔法使いたちの様子を見ていると、マジシャン部隊のリーダーと思しき女性から声をかけられた。

「ミストルティンさん、お待たせしました。驚いた?」

黒いワンピースの上に、サリーのような装飾をまとっている。美しい赤い髪が特徴的な、とても艶やかな大人の女性だ。

「は、はい。個性的な方が多くて」

「そうでしょう。始めはみんなびっくりするのよ。私の衣装も、あなたの故郷ではあまり見ないかしら」

赤い髪の女性はその場でくるりと一周回って、はにかんだ。

「私はサンスポット・レイヤー。マジシャン部隊のリーダーをさせてもらっています。今後はあなたのお世話係兼、先生になります。よろしくね」

「はい!よろしくお願いします」

「はい、よろしくお願いします。本当はレイアスから実務の説明をしてくれって頼まれたんだけど、それはおいおい伝えていく、というので良いわよね。私はもっとあなたのことが知りたいな。あなたはルクシオンの生まれなの?」

「私は、たぶんルクシオンよりももっと北側から」

「北側?」

サンスポットは指を頬に当てながら問うた。

「皆さんがズフィルシアと呼んでいる国の、側にある場所です」

サンスポットが目を丸くする。

「ズフィルシアの側、か。聞き間違いじゃないのね?」

「はい。ここまで一緒に来たエスカリョーネという友達が、浮遊大陸の話をしてくれたのですが、ピンとこなくて。ルクシオンという国も初めて聞きました。私の住んでいた場所には、国名はありませんでした。私は兄と両親の4人でいろいろな場所を転々としていました。何年か前から、その家族とも離れ離れになってしまったのですけど」

ミストルティンは小さな肩を震わせていた。サンスポットはそれに気づくと、ミストルティンを守るように優しく抱きしめた。

「ごめんなさいね。嫌なことを思い出させてしまって。辛かったのね」

「・・・ありがとうございます。もう大丈夫です」

ミストルティンは小さく笑った。

「家族には必ず再開できると信じています。そのために私は、北に戻りたいなって考えているんです」

「それがあなたの目標なのね。達成できるように一緒に頑張っていきましょう。そのためには、強くならなきゃね」

サンスポット・レイヤーは、ミストルティンと顔を合わせると、彼女に向けてウインクをした。

「はい、ぜひ。ここに来るまで、何度か戦闘があったんです。けれど私は役に立ちませんでした。もっと強くなりたいって思いました。サンスポットさん、私は強くなれるでしょうか」

ミストルティンは胸に手を当て、サンスポットに問うた。ミストルティンの意気込みをサンスポットも感じていた。

「強くなりたいという気持ち、それが一番大事よ。ミストルティンさん、あなたは強くなれる。修行は明日からの予定だったけど、今日から始めましょうか」

サンスポットは身体をウズウズさせてスクッと立つと、ミストルティンに手を差し出す。ミストルティンはその手をとった。

「あはっ、そうこなくちゃ。じゃあ早速行きましょう」

 

2人が向かったのは、裏の砂漠地帯だった。サンスポットは手頃な砂丘の頂上に立つと、辺りを眺めながら満足そうに言った。

「ここら辺でいいでしょう」

「はあ、はあ。裏側は砂漠になっているんですね」

「そう。おあつらえ向きでしょう?どんな魔法を放っても影響は少ないわ」

サンスポットはポケットから、コンパスを2つ取り出した。1つは完全なコンパス。もう1つは針が半分しかないコンパスだ。

「ミストルティンさん、はそろそろ言いにくいので、ミストちゃんでいいかしら?」

「はい、大丈夫です」

「ありがと。じゃあミストちゃん、これから私が魔法についての講釈を述べます。まずはあなたの属性を調べさせてもらうわね。北極の方を向いて、このコンパスを持ってみて。北は、そうね。こっちだわ」

サンスポットは完全なコンパスを使って方角を確かめてから、不完全なコンパスをミストルティンに持たせて、北を向くよう指示した。

「良いかしら。人は体内に7つの属性を持っています。火水風土の基本4属性と、雷闇光の高位3属性。これは魔法を学ぶ上での基本事項だから、絶対に忘れないこと。

そして、人にはそれぞれ得意な属性があります。それを見抜く方法が、さっき渡したコンパスよ。北に向かってそのコンパスを両手のひらで掬うように持ってみて。

不完全なコンパスが東を指せば、その人の属性は『風』。性質は熱にして湿。

不完全なコンパスが西を指せば、その人の属性は『水』。性質は冷にして湿。

不完全なコンパスが南を指せば、その人の属性は『火』。性質は熱にして乾。

不完全なコンパスが北を指せば、その人の属性は『土』。性質は冷にして乾。

コンパスの指す方向が一向に定まらない場合もあるわ。その場合はしめたもの。高位の3属性に適性がある可能性があります。

コンパスがずっと右回りを繰り返す人の属性は『雷』。性質は無にして動。

コンパスがずっと左回りを繰り返す人の属性は『光』又は『闇』。性質は無にして静。又は、って釈然としないかもしれないけれど、『光』と『闇』のどちらに適性があるかは残念ながらこの方法ではわからないの。けれどその人の性格から、ある程度は推察が出来るわ。熱っぽい人は『光』、冷たい人は『闇』ね。つまり『光』属性は、無にして静にして熱。『闇』属性は無にして静にして冷ということね。

それから、針がクタッとしてずっと動かない人は、残念ながら魔法の才能に恵まれなかった人ね。能力の有る人ほど、針はキビキビと動くわ。

さて、ミストちゃんはどうかしら」

ミストルティンは手元を確認した。

「コンパスが、ゆっくりですが、ずっと右に回っています」

「ミストちゃんの属性は『雷』ね。そういえば、さっき手続きの際に書いてもらった自己紹介シートにも、雷の魔法が使えると書いていたわね。よかった、能力の無駄遣いをしてなくて。基本属性の適性を持つ人が雷や闇属性に手を出すと、才能が閉じてしまう場合があるのよね。まずは一安心。

さて。雷闇光の高位3属性の能力は、先天的な才能にも左右されるけれど、基本4属性を鍛えることで多少なりとも強化することが出来るわ。例えば私も得意な性質は『火』だけど、基本の4属性はそれなりに鍛えていて。そんな私が雷の魔法を使うとどうなるか。ちょっとミストちゃんに見てもらおうかしら」

サンスポットは瞳を閉じると、呪文を詠唱しながら、手のひらをゆっくりと東の方向へ向けた。

「ライトニング・ボルケイノ」

サンスポットの手のひらから、雷の光線が放たれる。その光線は近くの砂丘までまっすぐに伸びていき、その砂丘を真っ二つにした。

「エクスプロシオン!」

ドンという音とともに、真っ二つにした砂丘が爆発した。ミストルティンは、自分の雷魔法との威力の差に唖然としていた。

「す、すごいですね」

「これでも私は『火』が得意分野で、雷属性は見よう見まねよ。ミストちゃんならもっと火力が出せると思うわ。一緒に頑張りましょう」

サンスポットはミストルティンの手を握った。サンスポットの屈託のない表情に、ミストルティンも応えたいと感じた。

「少しずつ、サンスポットさんに追いつけるように頑張っていきたいです」

「その意気、その意気」

2人はその日から早速魔法の修行にとりかかった。

 

***

 

舞台は変わって、エスカリョーネ。

「というわけで、私は頭のなかのフレスヴェルグと、ミストっていう友だちと一緒に国際連合軍に参加させてもらったんです」

「精霊を身体の中に取り込む、か。にわかには信じられんが、ここは何でもありの世界のようだから、そういう奴もいるんだろう」

イプシロンは半ば諦めた様子。

「お前の友達は良い部隊に配属されたな。マジシャン部隊。リーダーのサンスポット・レイヤー。あれはXceederだ」

「Xceeder?」

「超越者。常識や理解の垣根を越えた人のことを指す。ルクシオン、『ウラノス』の女王だそうだ」

「わぁー!すごい!私でも『ウラノス』は知っているよ。そんな有名な人が、国際連合軍に来ているんだ」

エスカリョーネは目を輝かせた。

「そういうことだ。しかしそれは同時に、悪い話でもある」

「どうして?」

「『ウラノス』は聖地である贖罪の地を棄て、国際連合軍に助けを求めた。それはつまり、Xceeder、超越者であるサンスポット・レイヤーを要しても、ズフィルシアの魔物たちは倒しきれないと判断したことに等しい。敵は手強いぞ」

イプシロンは言いながら、唇を噛み締めていた。

エスカリョーネはイプシロンの言葉をうまく飲み込めないでいた。彼女はまだサンスポットの力を見ていなかったから、Xceederの実力がどの程度のものか知る由もない。

それでも国際連合軍に合流するまでに戦った、プルスラスの一団を思い出し、それ以上の敵がいるならば大変な苦労が強いられることは想像できた。

「私は、Xceederにどれほどの力があるかはわかりません。けれど、今のままでは魔物たちに勝つことが難しいってことはわかります。教えて下さい、私はどうすれば強くなれますか?」

イプシロンは、エスカリョーネの言葉に口角をにやりと上げた。

「良い返答だ。お前から聞いた話を総合すると、お前の戦闘スタイルは魔法を補助に戦う魔法剣士と言えるだろう。ならば魔法と剣技、双方を鍛えることで戦闘力を飛躍させることが出来るはずだ。剣技についてはこの俺が稽古をつけてやる。以後、師匠と呼べ」

「師匠。一度は言われてみたい台詞ですね?」

「お前が言う方だぞ」

「わかってますって。それじゃあ師匠、これからよろしくお願いします」

エスカリョーネは大きく頭を下げた。

「ふっふ、気分がいい。おっと。あとは魔法だな。魔法については俺もよく知らねえから、お前の中のフレスヴェルグとやらに聞いてみるがいい。見たところお前は、フレスヴェルグと仲が悪いように見える。もはや一心同体なのだろう。お互いをもっとよく理解することだ。そうでなければ、いざというときに致命的な失敗を犯す」

「・・・わかりました」

エスカリョーネは一呼吸置いてから、了承の言葉を発した。イプシロンは頷くと、この日のオリエンテーションは終わりだと伝え、エスカリョーネを数あるテントの1つに案内した。今日からそこがエスカリョーネの家となる。

 

エスカリョーネは礼をしてイプシロンを見送ると、テントの前に座り込んで、太陽の沈みかけた空を見上げた。

(フレスヴェルグ、私の心は筒抜けなんでしょう?)

『隣人だからな』

(ごめんね。私、あなたのことをまだ好きになれないみたい)

『仕方のない事だ。誰だって、自分の中に別の存在がいて、考えを終始覗かれていると知ったら気分は良くない』

(せめて無心になることができたら、いいんだけど。お父さんのこととかお母さんのこととか。まだ吹っ切れていなくて、ドロドロしているんだ。それを聞かれていると思ったら、恥ずかしいよね。フレスヴェルグはあまり感情を出さないんだね。私にはフレスヴェルグの気持ちがほとんど感じられない)

『精霊は精神的に落ち着いているからな。感情が揺れ動くことは稀だ』

(それが唯一の救いかも。もし、私みたいな子が頭のなかにいたら、うるさくて嫌になっちゃう)

エスカリョーネはあははと笑った。

(ねえフレスヴェルグ。私、もっとフレスヴェルグと話をしてみたいと思うんだ。どうしてあの森に倒れていたのか。それすらまだ、聞いてないよね)

エスカリョーネがフレスヴェルグに向けて話しかけた刹那の事だった。

エスカリョーネの心臓に、けたたましい胸騒ぎが訪れた。憤怒、憎悪。ネガティブな感情の洪水がエスカリョーネを襲う。

「え?な、なにこれ。フレスヴェルグ?」

『あいつだ』

フレスヴェルグが憎しみを込めた声で呟く。

『あの男だ』

エスカリョーネは、フレスヴェルグの意識の先に視線を向けた。

そこにはイプシロンとにこやかに会話をする中性的な顔立ちの青年、ルミナス・カラフルが佇んでいた。

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