第31項 セフィロス

max

「怪物が、消えた? セフィロスがやったのか」
「マックス、あそこにヒトが・・・いえ、神様が立ってる」
 エシュロンを駆り、2人はオルヴェンスワンの古代兵器の上へ降り立った。
セフィロスの神衛隊が、彼らを取り巻く。けれどマックスとエルフィは神衛隊にかまわず、セフィロスに質問をぶつけた。
「セフィロス神、どうして」

『人間は、愚かだ』
 セフィロスはゆっくりと2人の方へと歩いていく。
『そして人間から造り出した復元者もまた、愚かだ。20年間、お前達は戦い続け、殺し合い、いくつもの命が失われていった』
 セフィロスは両手を広げた。雲の合間から、太陽の光が降り注ぐ。
『私は、精神の神だ。死んでいく者達の魂の叫びが聞こえてくるのだ。彼らは戦いを望んでなどいなかった。本心は、”安心”を望んでいた。ヒトは皆そうなのだ。”安心”を望みながらも、”争乱”をやめられない。つながりを求めながらも、つながりあうことのできない、欠落した生き物だ。私はそのやり取りを見るのに、飽いたのだ』
 セフィロスの言葉は、マックスの胸に突き刺さった。エンドラル、クラリスとルドルフの戦い。カミュ将軍、クライアント将軍とルドルフの戦い。人々は戦い続けてきた。
「すいません、でした」
 マックスの口を出たのは、そんな言葉だった。
「しょうもない生き物で、すいませんでした」
『もういい。私は疲れた。あとは好きなようにするがよい』
 セフィロスが言って、踵を返した時、上空から高速で接近する物体があった。

 ――プロフェッサーPOによって修復された発掘戦艦だ。ルドルフ、スヴィーナ、POを乗せた戦艦は暗黒教団の祭壇を経由し、レイ、エドガー、エティナを乗せて、黒いオーロラに沿ってこのオルヴェンスワンまで辿り着いたのだった。
「PO、この戦艦に武装はないのか?」ルドルフは問う。
「主砲があるが、まだ修理中じゃ」
「ならば突っ込め! 全員、脱出用意!」
「ようそろー!」
 POが言って、ボタンを握りこぶしで叩く。発掘戦艦は、管制室だけを切り離し、本体をセフィロスに突撃させた。発掘戦艦の先端がセフィロスに直撃する。辺りに空気の波が起きた。その衝撃はセフィロスだけでなく、直下の古代兵器を破壊するにも十分だった。古代兵器ごと陥没していくセフィロス。セフィロスの側にいたマックスとエルフィもその衝撃を真に受ける。マックスはエルフィを抱きしめて、精一杯彼女を守った。――神は死んだ。それでもアトラス軍とカリアス軍は衝突し、殺し合うのだろう。セフィロスが飽いた、ヒトの性だ。

 衝撃波が落ち着いた頃、エルフィは、自分の服が赤く染まっていることに気づいた。マックスの額から溢れ出た血が、彼女に降り注いでいた。
「マックス、血が」
「エルフィ、見てみろ」
 マックスはセフィロスが立っていた場所を指差した。そこにはヒトの形を保ったまま、紫色の結晶へと変貌したセフィロスの姿があった。それは、かつてケルト・シェイネンによって復元される前の状態。トリスメギストス――”賢者の石”と呼ばれるものだった。その紫の結晶は、エルフィにある決断を迫らせた。

「マックス、何があっても、私を、嫌いにならないでくれる?」
「何言ってるんだ。当たり前じゃないか」
「だったら私、やってみる」
 エルフィはマックスをその場に寝かせると、賢者の石のそばへ歩いていく。
「自分自身を認めること。私自身の力と向き合うこと」
 彼女は賢者の石に触れた。彼女の中に圧倒的な力が流れ込んでくる。世界を全て”還元”しても、有り余るほどの力が。
「凶暴な力。もの凄く怖い。けれどそれも含めて自分なんだ。怖いからって限界を引いて、蓋をするようなことはしちゃだめ」
 エルフィが力を発現する。翡翠色のオーロラがオルヴェンスワンを、エレメンシアを、世界を包んでいく。

 光の震源地であるエルフィの側には、マックスがいた。
「俺も一緒に引き受ける。終わったら一緒に帰ろう」
「うん、ありがとう」
 2人の姿は翡翠色のオーロラの中に消えた。 



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《第3部マクシード・ライゼンハルト目次》
第1項 マクシード・ライゼンハルト
第2項 エンドラル・パルス
第3項 クラリス・レイヤー
第4項 エドガー・ラルティーン
第5項 将軍ルドルフ
第6項 復元者スヴィーナ
第7項 アトラス

第8項 エルフィ
第9項 ヴァルマサルサ
第10項 レイブン
第11項 人造の神
第12項 レイ
第13項 龍王プロメテウス
第14項 アルバ・ベータ
第15項 狂人達

第16項 グルジア侵攻
第17項 会談
第18項 停戦友好条約
第19項 72(セブンティツー)
第20項 1人の人間
第21項 決裂
第22項 プロフェッサーPO
第23項 エッジ
第24項 神の光

第25項 戦場の男女
第26項 カリアス・トリーヴァ
第27項 儀式
第28項 邪神ディアボロス
第29項 還元者
第30項 光
第31項 セフィロス←いまここ
エピローグ3

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