第17項 会談

max

 カミュ将軍が捕えられた頃、マックス達はドブロムニクからグルジアへと歩を進めていた。そこでマックスは2ヶ月ぶりにクレイモアの軍隊を見、3ヶ月ぶりにエドガーと再会した。

「よっ、久しぶり! ありゃ、すげー可愛い子連れて、うらやましいねー」
「か、彼女はエルフィと言って、精霊王の娘さんだ。マタリカ大陸を見たことないから、というので一緒に旅している」
「ぷっ。アハハ、固すぎでしょ。ってかお前、軍隊抜けてデートなんかしちゃって大丈夫? 鞭打ち100回されちゃうよ。いっそのこと、メルッショルド生まれの新参者です! ってことにして再度入隊し直した方がいいぞ」
「エドガー、頭回るな。考えつかなかった」
「お前よりは、ずる賢いかもな。んで、そっちの無愛想な兄ちゃんは誰よ」
 エドガーはレイを指差した。

「俺は龍王の息子、レイだ。気安く話しかけるな」
「ありゃーすっげえツンデレ。でも何でケバブ食ってんの」
 レイは、ドブロムニクでケバブを食べて以来、その味がお気に入りだった。
 エドガーは、マックス達に、ルドルフが将軍カミュの引き渡しを考えていることを伝えた。
「それも、無交換条件での引き渡しだってよ。もちろんグルジアに介入してくるなって意図はあるだろうけど」
「ルドルフ将軍の話を聞いてみたいな」

 マックスはクレイモアへ再度入隊することを決めた。エルフィとレイも一緒に軍に入団すると言い出した。
「エルフィ、レイ。遊びじゃないんだぞ。マタリカ大陸だって戦場になる」
「覚悟はできています」
 エルフィは強い眼差しでマックスを見た。
「俺が人間などに、倒されるはずがないだろう」
 レイはいつも通り自信たっぷりに言った。
 彼らはクレイモアへ合流した。クレイモアの制服――黒のジャケットとズボン、帽子を身にまとったエルフィの姿は新鮮だった。彼女はマックスに向かって、敬礼というものをしてみる。マックスはその可愛さに卒倒しそうだった。
「さあ、ルドルフ将軍のところへ行こう。話を聞くのだろう」レイが言う。
「レイ、軍隊ってのはそんな簡単じゃないんだ。段階を踏まないと」
 マックスがレイをなだめていたとき、彼らの入隊の様子を見に来ていたエドガーが口をはさんできた。
「俺、ルドルフ将軍に頼んでみるよ。クレイモアの新人紹介だ。多分話せる」

 エドガーは、デモリューションを通じて、ルドルフ将軍とマックス、エルフィ、レイの会談をセッティングした。これはエドガーの人徳だった。
そして会談。緊張するマックス達へ、ルドルフが穏やかな言葉を投げかけた。
「エドガー君。また今日も面白い人物を連れてきてくれたのかな」
「はい、ルドルフさん。今日は特に面白いっすよ。龍王プロメテウスの息子さんと、精霊王ヴァルマサルサの娘さん、その2人を連れてきた青年マックス。どうっすか、面白いでしょう」
 ルドルフは顎に手をやって、3人を見た。

「非常に面白いな、エドガー。そうか、精霊たちもクレイモアへ入隊してくれていたのか。それで?」ルドルフの問いかけに答えたのはマックス。
「はい。ルドルフ将軍がカミュ将軍を無交換条件で引き渡しすると聞いて、その意図を知りたかったんです。意図を知っておくと知らないのとでは、兵士達も命の賭け方が変わります」
「そうだな。実はなマックス君。私は人間とは柔和の道もあるのではないかと考えている。グルジアさえ治めれば、マタリカ大陸の西岸部は監視下に置くことが出来るし、クレイモアは安心してオルヴェンスワンへ攻め込める」
 ルドルフは机の上に置かれた、掌ほどの大きさの歯車を3人に見せた。
「カミュ将軍の引き渡しの際、この歯車を友好の証に渡すつもりだ。歯車はカリアス・トリーヴァと先端技術を象徴するものだ。良い趣向だろう」
「失礼ですが」
 マックスは緊張しながらも毅然として言った。
「ルドルフ将軍が使者では、友好条約は妥結出来ないと思います。なぜならルドルフ将軍は、強すぎるから」
「ほう」
「強すぎる力は、相手に恐怖を与えます。ファルコンの人々は、クレイモアの圧力を感じるでしょう。そして今回の停戦がひとときのものと認識し、軍備増強を続けていくと思います」 



《第3部マクシード・ライゼンハルト目次》
第1項 マクシード・ライゼンハルト
第2項 エンドラル・パルス
第3項 クラリス・レイヤー
第4項 エドガー・ラルティーン
第5項 将軍ルドルフ
第6項 復元者スヴィーナ
第7項 アトラス

第8項 エルフィ
第9項 ヴァルマサルサ
第10項 レイブン
第11項 人造の神
第12項 レイ
第13項 龍王プロメテウス
第14項 アルバ・ベータ
第15項 狂人達

第16項 グルジア侵攻
第17項 会談←いまここ
第18項 停戦友好条約
第19項 72(セブンティツー)
第20項 1人の人間
第21項 決裂
第22項 プロフェッサーPO
第23項 エッジ
第24項 神の光

第25項 戦場の男女
第26項 カリアス・トリーヴァ
第27項 儀式
第28項 邪神ディアボロス
第29項 還元者
第30項 光
第31項 セフィロス
エピローグ3

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