第6項 復元者スヴィーナ

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 ルドルフに加えてスヴィーナを召還したアトラスは、ヴィヴァリンの首都ホリデュラの宮殿でミーティングの場を設けた。
「久しぶりだな、ルドルフ将軍、スヴィーナ将軍。また会えて嬉しいぞ」
「アトラス、その”将軍”という呼び名は止めてくれ。俺はあくまでも科学者でありたい」
「そうだったな、ルドルフ。君の設計した装置は、各地で戦果を挙げているよ。スヴィーナはどうだ。変わりはないか」
「はい、アトラス様。いつでもイけるように、体調整えてきましたぁ」
「それは頼もしいな。さてルドルフ、基本的にはお前の指揮のもと、スヴィーナや私の部隊に動いてもらうつもりだが、いくらの兵力が必要だ?」

「ざっと2万」
 ルドルフは要求を述べた。
「2万か。これまで3万以上の兵士がレバノンで亡くなっているが」
「俺とスヴィーナがいれば問題ない。それから俺の開発した爆弾TX640を6万個用意して欲しい」
「焦土作戦か」
「そのままの土地を手に入れたいと思うから、戦いは終わらないのさアトラス。まずは全てをゼロに戻す。必ず勝てるさ」
 ルドルフは言うと席を立った。アトラスは2万の兵と6万の爆弾を用意するよう、ルドルフに約束した。ルドルフはアトラスに頭を下げ、食事に行くと告げて部屋を出た。スヴィーナもそれについていく。

 ルドルフはスヴィーナと廊下を歩きながら、彼女に向かって悪態をつく。
「何が『体調整えてきましたぁ』だ。背筋が凍ったぞ」
「何言ってんのルドルフ。可愛らしい子が1人いた方が、会議も上手く回るでしょ?」
「俺は悪寒しか感じなかったが? アトラスも何言ってんだこいつ、と思ったはずだ」
「そうかなあ。アトラス様、仮面とってくれないから表情がわからないのよね。多分鼻の下伸びてたんじゃないかなあ」
「アホなんだな、お前」
 ルドルフは頭を抱えていた。けれども彼はスヴィーナの実力を認めていた。

「まずは敵に発見されないよう、6万の爆弾を仕掛ける必要がある。それを一晩で行なわなければならない」
「そんなことできるの?」
「配給という制度があるだろう? あれを使って、人間全員に爆弾を配るのさ。木炭に紛れ込ませてな。全体に行き渡るまで、爆弾に気付かれないかが問題だが、いまはまだ暖かい季節で、昼間木炭に火をつける人間はそういないだろう」
「なるほどね、CX640を木炭の中に入れとくんだ」
「TX640な。この爆弾は凄いぞ。火をつけると最初催眠ガスが5分ほど噴射され、その後爆発する。対象は逃げられず即死というわけだ」
「さっすがルドぽん、こっわーい」
「やめろ。悪寒が走る。しかし全員に配ったとしても、木炭を使わない人間もいるかもしれない。そこをスヴィーナ、お前の復元者部隊で個別撃破しろ」
「わっかりましたー。でも、そんな怪しいもの配って受け取ってくれるかなあ」
「もう人間側の配給人は買収済みさ。もっとも、作戦が成功した後は、彼らにもTX640の犠牲になってもらうがな」
 ルドルフは笑った。

 7日後、兵士と爆弾を用意したクレイモアは、レバノンに対して作戦を決行した。ルドルフの考案した、配給品に爆弾を仕掛けるという、この単純な作戦は、見事に成功してしまう。人間は度重なる戦争による飢餓で、冷静な判断を失っていた。配給人から与えられるものは無条件で信用できる――その隙をルドルフはついた。

 レバノンに爆発音が鳴り響いたのは、当日の夜だった。クラリスとエンドラルが異変に気づいたときには、街は火の海にのまれていた。
「何が起きた? レバノンの家屋が、ことごとく燃えている」
 エンドラルとクラリスの元に、スヴィーナの操る神獣が現れたのは、数刻もしないうちだった。
「見つけた。エンドラルとクラリスはあの館にいる」
 スヴィーナが指示を出す。彼女の指示を受け、200人の復元者部隊がエンドラル、クラリスの館を取り囲み、その外壁に火を放った。



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《第3部マクシード・ライゼンハルト目次》
第1項 マクシード・ライゼンハルト
第2項 エンドラル・パルス
第3項 クラリス・レイヤー
第4項 エドガー・ラルティーン
第5項 将軍ルドルフ
第6項 復元者スヴィーナ←いまここ
第7項 アトラス

第8項 エルフィ
第9項 ヴァルマサルサ
第10項 レイブン
第11項 人造の神
第12項 レイ
第13項 龍王プロメテウス
第14項 アルバ・ベータ
第15項 狂人達

第16項 グルジア侵攻
第17項 会談
第18項 停戦友好条約
第19項 72(セブンティツー)
第20項 1人の人間
第21項 決裂
第22項 プロフェッサーPO
第23項 エッジ
第24項 神の光

第25項 戦場の男女
第26項 カリアス・トリーヴァ
第27項 儀式
第28項 邪神ディアボロス
第29項 還元者
第30項 光
第31項 セフィロス
エピローグ3

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