第2項 エンドラル・パルス

max

 マックスは初陣で、1人切りという成果を挙げた。それと同時に、彼は戦場における様々なルールを知った。ゼノンはマックスの肩を叩き、褒めた。

「これでお前も、戦士となった。新人の3分の1が、初陣で帰ってこない。生きて帰ってきたことは、素晴らしいことだ。初めての戦果も挙げたしな」
 ゼノンは街から回収した資源を兵士達にふるまい、盛大な祝杯をあげた。マックスも、生まれて初めてワインを飲み、先輩兵士達と賑やかな時を過ごした。ようやくクレイモアの一員となった、そんな気がしていた。

 そうして半月ほど戦った頃、ゼノンの部隊はクレイモア本隊――つまりアトラスの軍と合流した。アトラスはゼノン部隊に配属された新人を集め、彼らに向けて、復元者が戦うことの意義を説いた。
「「君たちの戦いが、復元者の未来への福音となる」」
 アトラスの言葉は、何も特別な言葉ではなかったかもしれない。だが、新人達はアトラスの言葉に勇気づけられ、戦うための勇気を植え付けられた。マックスも、何か大きな光が、自分の背中を押してくれるような気がしていた。端的に言えば、負ける気がしなかった。

『これがアトラス。これが、カリスマなのか』
 マックスは、選ばれし人間と一般人の差を痛感していた。

***

 アトラスの命を受け、ゼノンの部隊は、ヴィヴァリンの南部を平定するために動き始めた。この場所は、サイドランドの港からルクシオンのレバノンに向かう最短経路だ。人間達は約5万の部隊で、レバノンへと進攻を始めていた。
 ゼノンは部隊を2つにわけることを決めた。ゼノンを中心としたベテラン部隊は人間の先行部隊を叩き、若い人間を中心とした部隊で後方の補給部隊を叩くのだ。

「この戦いは厳しいものになる。もし俺達が戻れなかったとしても、若き志士によって、意志が受け継がれればそれで良い」
 ゼノンは決死の作戦へと歩を進めた。

 決戦が始まったのは、深夜。人間達が休息をとっている時間帯だ。ゼノンは信を置くベテラン兵士13300を率いて、5万の大軍に突撃した。
 マックスは後方の補給部隊を襲撃する隊に配属された。
「ゼノン隊長は俺達に生き残るチャンスをくれた。死なせるわけにはいかない」
 ゼノンの率いる本隊と、マックスらによって挟み撃ちとなった人間達は、泥臭く生き残ろうとした。ゼノンの部隊も多くがやられたが、統率のとれていない人間達に対し、ゼノン達は冷静だった。マックス達が後方の補給部隊を倒してくれると信じて、耐え続けていた。

 マックスらも、油断していた人間達に奇襲を浴びせ、多くの命を奪った。マックスも、補給部隊に近づき、運搬者を斬ろうとしていた。けれどそれを塞いだ剣線があった。エンドラル・パルスの剣だった。その青い髪の毛を見たマックスは叫んだ。
「どうして復元者が人間の手助けをしているんだ」
 マックスはエンドラルへ剣を振り下ろす。エンドラルは鮮やかにマックスの剣を避け、盾でマックスを弾き返す。

「君は、大局が見えていない。復元者の敵が人間だと、簡単に考えるな」
 エンドラルはミッドナイト クロスを復元し、龍を具現化すると、クレイモアの部隊に対して炎のブレスを浴びせた。
「この龍は、ファシス・ラビル!? じゃああなたは、エンドラル・パルスか」
 マックスはエンドラルの名を、歴史の教科書の中で見たことがあった。人類史上初めて、限界を越えた力――Xceedを発現したヒト。
「あなたのような偉大な人が、どうしてクレイモアと戦っている!?」
 マックスのブレイブソウルが、エンドラルに振り下ろされる。エンドラルはミッドナイト クロスの復元を解き、ブレイブソウルの一撃を逸らした。盾が僅かに傷つき、エンドラルは驚く。
「君の持っている剣も、エーテルを秘めているのか」
 エンドラルはマックスに接近すると、剣の柄でマックスの右腕を思い切り叩いた。あまりの痛みにブレイブソウルを落とすマックス。勝負はあった。だが、エンドラルはマックスにとどめは刺さない。マックスは虚ろな目をしていた。
「あなたやアトラスのようなカリスマは別として、一般人はやっぱり歯車でしかないのか。・・・俺も軍人です。あなたのような英雄に殺されるのなら本望です。やってください」
 エンドラルはマックスの懇願を無視して、剣を納めた。

「俺は君を殺さない。生きて、自分の身近な世界を大事にすることだ」



スポンサーリンク

《第3部マクシード・ライゼンハルト目次》
第1項 マクシード・ライゼンハルト
第2項 エンドラル・パルス←いまここ
第3項 クラリス・レイヤー
第4項 エドガー・ラルティーン
第5項 将軍ルドルフ
第6項 復元者スヴィーナ
第7項 アトラス

第8項 エルフィ
第9項 ヴァルマサルサ
第10項 レイブン
第11項 人造の神
第12項 レイ
第13項 龍王プロメテウス
第14項 アルバ・ベータ
第15項 狂人達

第16項 グルジア侵攻
第17項 会談
第18項 停戦友好条約
第19項 72(セブンティツー)
第20項 1人の人間
第21項 決裂
第22項 プロフェッサーPO
第23項 エッジ
第24項 神の光

第25項 戦場の男女
第26項 カリアス・トリーヴァ
第27項 儀式
第28項 邪神ディアボロス
第29項 還元者
第30項 光
第31項 セフィロス
エピローグ3

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。

Twitter でフォロー

ページ上部へ戻る