end

 エンドラルはアドヴァーグからウィルを取り返した。エンドラルが1番最初にした頃は、ウィルに、何がやりたいかを尋ねることだった。ウィルはエンドラルの目をまっすぐに見、勉強がやりたいと宣言した。その瞳を本気と感じたエンドラルは、現在も教育機関が機能しているオースリベラリアへの留学を手配した。エンドラルは、ウィルが自分に頼ってこない限り、もう彼とは会わないつもりだった。2人は別々の道を歩き出していた。

 アドヴァーグ・ドースティンはエリカと共に姿をくらました。エンドラルは、利き腕を負傷したアドヴァーグにとどめを刺すことは出来なかった。もしかしたらアドヴァーグはまた、精霊を殺して回るかもしれない。ウィルを利用するかもしれない。それでもエンドラルは、もはや彼の所業に関与する気はなかった。アドヴァーグを追った理由は、自分の家族であるシュワンが殺されたためであり、幼いウィルがさらわれたためだった。けれどシュワンはもうおらず、ウィルは戻り、自分の道を歩き出した。ウィルは、もしまたアドヴァーグに連れて行かれることがあっても、今度は自分の意志を伝えることが出来るだろう。アドヴァーグを追う理由は、無くなっていた。

 クラリスはレバノンで秘密結社レイドサイクロンを結成し、人間達の復旧活動、統治活動の内政に入り込んだ。人間達は、こんな大災害の後でも、復元者に対して差別を続け、人間が生き残るよう図っていた。クラリスはそんな人間達のやり方に反感を抱きながらも、同調し、陰ながら復元者の支援を行い、牙を磨くことで、ルクシオン独立の足回りを、少しずつ固めていった。

 エンドラルは目の前のパイルシュレッドとしての仕事を、黙々とこなした。彼は自分の仕事に誇りを持っていた。休日にやることがなく、虚無に襲われることもあるが、人生の大半を占める仕事が楽しければ、耐えることが出来た――彼はこの後ほとんど休日を取ることは無かった。

 大洪水による被害からの復旧は、多くの物資を必要とし、商社であるパイルシュレッドには注文が殺到していた。巨大な需要に対して、供給は不足しがちだったが、それでもエンドラル達――特にエンドラル不在の時期を社長としてこなし、その後も決定権を持ち続けたファリス・レイリーン――は価格の高騰を抑えるようメーカに働きかけ、人々の復旧活動に大きな貢献をした。エンドラルはレイドサイクロンの活動にも支援をし、クラリスを助けた。彼らは人間と復元者を間接的につないでいた。

 エンドラル、アドヴァーグの物語はこれによって終焉を迎える。しかし、大洪水は多くの人々の生活を変えてしまった。エレメンシア大陸の約半分、マタリカ大陸の西海岸、ユーグリット大陸の来た海岸を襲った津波は、人間の築き上げた要塞を飲み込み、技術工場を破壊した。カリアス・トリーヴァの計画したプロジェクト・レボリューションは、これによって数年の遅れが生じることとなる。

 さらに不幸なことに、エレメンシア大陸を襲った津波は、カリアスによって止められた時を、動かしてしまった。エレメンシア大陸の最西部に封じ込められていた神の軍勢が、ついに動き出したのだ。

 神の軍勢は時が止まる前の勢いを維持したまま、ルクシオン、ヴィヴァリン、サイドランド、そしてマタリカ大陸へと勢力を拡大していく。カリアス達は武器工場が洪水によって破壊されたため、エレメンシア大陸に前線を展開するつもりだったが、マタリカ大陸までの侵入を許してしまった。それでも最新の技術を携えた人間達は、神の軍勢を次第に押し返し、エレメンシア大陸東部サイドランド――その森林地帯でのゲリラ戦を展開していく。

 エレメンシア大陸の中心部では、神の軍勢が優勢とはいえ、人間たちも抵抗を続けていた。レバノンはもちろん、戦いの中心地となっていった。復元者はいつ神の手先になるかわからないため、人間によって収容所へ入れられ、大量虐殺を繰り返された。そして人間による復元者への迫害が頂点に達した時、1人の男が決起することとなる。

 アトラスを名乗る仮面の男だ。アトラスはヴィヴァリン辺境の街シーガルに登場し、巨大な剣と復元能力によって、たった1人でこの街を治めた。この男は復元者の自由を取り返すための組織――クレイモアを立ち上げ、迫害に苦しむ復元者達の受け皿となった。
『復元者よ、世の中にもっと叫びを(Cry More)』という大志から結成されたこの組織は、優秀な復元者を集めて戦争を戦った。特にアトラスと4人の復元者――四天王と呼ばれた――の部隊は強力で、サイドランドやヴィヴァリンの都市を次々と平定した。彼らは神の軍勢も、人間もいない復元者だけの国を建てると宣言し、これらの都市を統治していった。

 この男の登場が、世界の歴史を変えていくこととなる。
 そして3年――。

 
《第2部エンドラル・パルス目次》
第1項 プロジェクト
第2項 プロジェクトマネージャ
第3項 プロジェクト リソース
第4項 ネットワーク図
第5項 コスト差異
第6項 ガントチャート
第7項 フィージビリティ・スタディ
第8項 プロジェクト使命
第9項 プロジェクト コントロール
第10項 プロジェクト・デザイン・マトリックス
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