第1項 プロジェクト

end

 繋がりの時代は過ぎた。

 アイン・スタンスラインによって、世界中が1つにまとまろうとしていた時、エレメンシア大陸の最西部オルヴェンスワンに降臨したのが、神だ。神は2000年前に世界を蹂躙するために造り出したヒト――復元者を従え、人間を滅ぼすための侵攻を始めた。神の軍勢によってエレメンシア大陸は蹂躙され、マタリカ大陸とユーグリット大陸にも復元者を派遣し始めていた。人類は未曾有の危機に見舞われていた。しかし人類が窮地に立たされた時、カリアス・トリーヴァと呼ばれる人間が地上へ具現し、神の滞在するエレメンシア大陸の西半分の時間を止めてしまった。

 カリアスは15年間の時間をつくったという。彼は人類に『この15年間で人間が革新を起こせなければ、人類は滅ぶことになる』と警告すると同時に、自分の知識が人類の希望となることを語った。彼は意識次元にて、2000年前の技術を記憶していたのだ。カリアス・トリーヴァはマタリカ大陸に渡ると、デロメア・テクニカの技術者へ未知の技術を伝えた。デロメア・テクニカの人々は、自分たちが人類を救う鍵になると信じて、技術革新を図っていった。

 カリアス・トリーヴァは、この15年間をプロジェクト・レボリューションと名付け、プロジェクトマネジメントチームを発足させた。プロジェクトは、始めと終わりがある、一連のタスクと定義される。カリアスは神の軍勢を殲滅できる武装を開発することをプロジェクトの終わり=目標と定めて、計画を立案した。武器性能を革新させていくことはもちろんのこと、製造用の機械や、マタリカ大陸の資源(リソース)を効率よく採掘できる機械を開発することで、武装の大量生産を可能とし、人類皆兵士として戦える環境を作りだすことを考えた。

『人類は皆、クリエイターになる必要がある』

 カリアスは革新のための自由な発想を人々に求めた。人類はカリアスの元、128の組織に分かれて、機械、化学薬品、爆弾などのカテゴリについて開発を進めていった。開発にあたっては、デロメア・テクニカの一部の地域を『閉鎖都市』として一般人が近づけない、地図に無い都市とし、秘密裏に研究が進められた。

 カリアスは、5年毎に時間停止した土地の一部で時間を動かし、神の軍勢に人類の武器が通用するかを確かめる機会を与えた。5年目に時間を動かした際は、破壊力不足で数千人の人間が倒れたが、神の軍勢を精霊の国へ誘い込み、精霊の力を借りて敵を退けた。10年目には神の軍勢を吹き飛ばす爆薬が開発されており、人間の力だけで神の軍勢を退けることに成功した。彼らは爆弾の改良を行ないながら、大量生産を行なうための工場を製造し、神の復活に備えていった。

 カリアス・トリーヴァが人類を組織して、神と戦うための力を開発していた頃、他の土地では終わりなき悲劇が繰り広げられていた。
 神が動きを止めている間も、人間と復元者の争いは一向に治まる気配は無い。人間は、1度神の味方についた復元者達を、再び仲間として迎え入れることができなかった。『今信用したところで、カリアスの確保した15年が経過して神が復活すれば復元者は裏切るのだろう』、というのが人間の本音だった。多くの人間は復元者を無視し、迫害した。復元者を今のうちから滅ぼしておいた方が良い、という人間も現れた。そういった人々は、カリアスの組織から離散して新たなチームをつくった。フォルス提督によって立ち上げられた、人間による自治を目指す組織ファルコンもその1つだ。ファルコンは最初『閉鎖都市』を警備する組織だったが、フォルスの声かけによって独立し、自発的攻撃を行なうようになった。ファルコンの支持者は多く、カリアス達から購入した武器を用いて復元者達を蹂躙していった。

 復元者達も、そういった考えの人間がいることを認識していた。だから人々は、多くの人々と繋がりを持とうとは考えなくなっていった。数少ない、心許せる仲間達との繋がりだけが、人々にとっての世界となった。

 そしてカリアスの登場から14年が経過する――。
 
 
《第2部エンドラル・パルス目次》
第1項 プロジェクト←いまここ
第2項 プロジェクトマネージャ
第3項 プロジェクト リソース
第4項 ネットワーク図
第5項 コスト差異
第6項 ガントチャート
第7項 フィージビリティ・スタディ
第8項 プロジェクト使命
第9項 プロジェクト コントロール
第10項 プロジェクト・デザイン・マトリックス
エピローグ2

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